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潰瘍性大腸炎

このような症状は
ありませんか?

腹痛・下痢・血便
  • ずっと腹痛が続いている
  • 下痢が長期間続いている
  • 血便、とくに粘血便が出る

この3つの症状にずっとお悩みの場合、潰瘍性大腸炎(UC)の疑いがあります。
潰瘍性大腸炎は上記の3つを主な症状とする炎症性腸疾患(IBD)の一種で、原因のはっきりわからない特発性の病気です。
症状は深刻化する時期と、症状の現れない時期を繰り返すことも特徴の一つです。
これらの症状でお悩みの方は、当院までご相談ください。

潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎腸に炎症が起こることによって様々な症状が現れる疾患を総称して炎症性腸疾患(IBD)といいます。炎症性腸疾患は、広い意味では細菌やウイルス感染によるもの、薬剤によるものなど原因がはっきりしているものと、原因のはっきりしない特発性と言われるタイプのものがあります。ただし、単に炎症性腸疾患といった場合、多くは特発性の疾患としてここで扱う潰瘍性大腸炎とクローン病の二つをあらわしています。
この2つの疾患は、発症の原因が不明の部分が多く、根治治療の方法も発見されていないため、日本では、国の難病に指定されており、一定の要件を満たすことによって医療費の補助を受けることができます。
このうち、潰瘍性大腸炎は英語の「Ulcerative Colitis」を略してUCと呼ばれることもあります。大腸の連続的な炎症によって、腹痛、下痢、粘血便を主な症状として、重症化すると体重減少や貧血などを起こることや、稀ですが穿孔が起こる可能性もあります。症状が激しく現れる活動期(再燃期)と症状が治まっている寛解期を繰り返します。
近年、潰瘍性大腸炎は罹患者数が20万人を超えており、これまでは30歳以下と比較的若い世代に多い疾患だったのですが、近年50代以上の方の発症も増えてきており、全体に増加傾向にあります。
それにつれて、この疾患に関する研究も進んできており、家族内での発症が多いこと、欧米型の食生活が増加するにつれ罹患数が増加していることなどから、遺伝的要因と環境的要因などが複雑に関連して起こっているのではないかと考えられるようになってきました。
完治は難しい疾患ですが、新しい作用メカニズムの薬も開発されてきており、しっかりと治療を続けることで、発病前の日常生活を維持できるようになってきています。

潰瘍性大腸炎の原因

この疾患の原因はまだ明らかにされていませんが、近年の研究で、遺伝的な要因をもっている人に食生活・生活習慣といった環境的要因が加わることによって、自己免疫の反応が起こって腸壁を攻撃してしまうことから発症するのではないかということがわかってきています。
また、その他にも多くの要因が複雑に関係しています。

潰瘍性大腸炎の検査・診断

大腸カメラ検査潰瘍性大腸炎は、直腸から発症して、大腸を肛門から奥の方へと連続的に炎症が進んでいく疾患ですが、炎症は大腸にのみ起こることが特徴です。問診や診察で症状からある程度推定はできるのですが、確定診断のためには大腸カメラ検査が重要になってきます。大腸カメラ検査では、潰瘍性大腸炎に特徴的な炎症の状態、範囲などを見極めるとともに、その他の疾患が隠れていないか、組織を採取して病理検査などを行い、原因疾患を特定していきます。
それ以外には、感染の状態、炎症の程度、全身の状態、内分泌状態などを調べるための血液検査、肝臓などの状態を確認するための腹部エコー検査なども実施します。

潰瘍性大腸炎の治療

潰瘍性大腸炎の治療は、活動期(再燃期)にはできだけ早く症状を治め寛解期に導くことを目的とし、また寛解期にはできるだけ長く症状が現れない状態が続くことを目的として、長期間治療を続けることになります。
基本的には薬物療法と食生活を含めた生活習慣の改善の両面から治療を行っていきます。
薬物療法としては、近年、この疾患の治療薬として開発された、炎症性の細胞から発生する活性酸素やロイコトリエンという炎症性物質を取り除く働きのある、5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤)という種類の薬剤の内服、坐薬、および注腸を中心に行い、炎症の強い時期にはステロイド薬の坐薬や注腸を行います。
この治療で効果を得られない場合は、免疫調整薬とステロイドの内服治療を検討することになります。
ステロイドに対して抵抗性や依存性がある場合には、生物学的製剤の注射、免疫抑制剤の注射や内服、炎症性サイトカイン阻害薬の注射や内服治療などを行います。この治療は、当院と連携する高度医療機関を紹介して行っております。
重症の場合は、入院治療が必要となります。

潰瘍性大腸炎を
放置せずに受診しましょう

潰瘍性大腸炎の10%程度は自然に寛解することもあると言われていますが、一般的には寛解期に治療をせず放置してしまうことによって、再発を早め、さらに重症化させてしまう可能性が高くなります。とくに次に挙げるような合併症が起こった場合、緊急外科手術が必要になるばかりではなく、生命に危険が及ぶことも考えられますので、根気よく治療を続けることが大切です。

大量出血

潰瘍性大腸炎の場合、炎症によるびらんは比較的浅い部分にとどまることが多いのですが、稀に大量出血を起こしてしまうこともあります。

中毒性巨大結腸症

腸管が炎症によって弛緩してしまい、拡張して巨大化することがあります。とくに横行結腸に多くみられます。

穿孔(せんこう)

炎症が深く進行することによって、大腸壁に穴があいてしまうことです。腸内の便などが腹腔内に漏れ出すと腹膜炎を起こし生命に危険が及ぶことになります。

大腸がん

慢性的に炎症が起こっているため、大腸がんの発症リスクが高まります。潰瘍性大腸炎があると発症してから10年では1.6%、20年では8.3%、30年では18.3%の方が大腸がんを発症するという統計もあります。大腸がんは早期発見すれば比較的簡単な治療で完治できますので、潰瘍性大腸炎の治療とともに、定期的な大腸カメラ検査による経過観察が重要です。

このように潰瘍性大腸炎は、適切な治療を続けないと、様々な合併症を起こして治療が難しくなることがあります。症状に気づいたらいち早く受診し、気長に治療を続け、定期的に経過観察を続けることが大切です。

潰瘍性大腸炎の食事

潰瘍性大腸炎には基本的には食事制限は必要ありません。しかし、活動期(再燃期)には大腸に刺激になる食事は控える必要があります。

炎症が強くある活動期の場合

炎症が強くある活動期の場合高脂質の料理(揚げ物、動物性脂肪の多い食品など)を控え、また刺激性のある香辛料、コーヒー、炭酸飲料、お酒なども控えます。また冷たい飲み物や、不溶性食物繊維の多い豆類、きのこ、山菜類なども控えめにします。
高エネルギー、高たんぱく、低脂肪で食物繊維も控えめの食事内容が良いでしょう。

炎症が治まっている
寛解期の場合

寛解期にはほとんど食事制限はありませんが、暴飲暴食を避け、食事はバランスのとれた内容を心がけることが大切です。
お酒は寛解期であれば問題ないとされていますが、飲み過ぎないよう適量を心がけましょう。

潰瘍性大腸炎と飲み物

普段から冷たい飲み物などでお腹を壊しやすい人は、寛解期でも常温の飲み物、または温かい飲み物(熱いものは避ける)を飲む習慣をつけておきましょう。

コーヒーやカフェインを飲んでも大丈夫なのか

コーヒーやカフェインは潰瘍性大腸炎に影響を与えることはありません。
しかし、コーヒーを飲むと下痢になってしまう体質の方は、大腸への刺激を避けるため控えた方がいいでしょう。

潰瘍性大腸炎の
よくある質問

潰瘍性大腸炎とクローン病はどう違うのですか?

どちらも特発性の炎症性腸疾患で、消化管に炎症がおきて腹痛や血便、下痢といった症状があり、似ていますが、潰瘍性大腸炎は炎症の起こる範囲が大腸に限られ、直腸から連続的に炎症が進んでいくのに対し、クローン病は口から肛門までの消化管のどこにでもランダムに炎症が起こる可能性があるという部分が異なります。また炎症の程度も潰瘍性大腸炎は比較的表層の方に留まることが多いのに対し、クローン病では深く潰瘍が進むことが多いという違いもあります。

潰瘍性大腸炎に起こる合併症はどんなものがありますか?

腸管に起こる合併症と腸管外に起こる合併症に分けて考えます。

腸管合併症

腸管の炎症によって起こる合併症には、炎症の悪化によるものと炎症が長期間にわたることによるものがあります。炎症の悪化によるものとしては、潰瘍の悪化に伴う大出血、中毒性巨大結腸症、穿孔といったものがあります。一方、炎症が長時間続いたために起こる合併症としては、大腸狭窄や大腸がんなどがあります。

腸管外合併症

腸管外の合併症は、免疫システムの不全や栄養状態の低下などが関係して全身の様々な箇所に起こります。
関節炎、皮膚病変、血栓塞栓症、原発性硬化性胆管炎、膵炎、血管炎などが挙げられます。

日常生活で気をつけるべき点はなんでしょう?

寛解期にはとくに食事制限はありませんが、暴飲暴食を避け、消化の負担になるような、高脂質な食物、刺激物などはできるだけ控えるようにして、バランスの良い食事を心がけましょう。
牛乳、乳製品などは、牛乳を飲んでお腹を下さなければ制限はありません。またコーヒーやお酒なども適量であればとくに制限はありません。
活動期には、症状の程度に合わせた食事制限が必要になるため、医療機関での指導に従いましょう。