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大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
病理結果集計(2020~2024)

2024年度までに、当院で行った大腸内視鏡検査(大腸カメラ)での、生検またはポリープ切除の病理結果を集計しました。

大腸内視鏡検査(年度)

2020

2021

2022

2023

2024

進行大腸癌

6

5

10

9

8

早期大腸癌(sm2以深)

3

1

1

3

2

早期大腸癌(sm1以内)

5

4

7

8

8

大腸腺腫

526

836

801

1050

1078

SSA/P

70

75

114

175

163

鋸歯状腺腫(TSA)

2

2

8

7

4

過形成性ポリープ

44

107

100

36

42

炎症性ポリープ

2

4

3

2

15

若年性ポリープ

4

1

4

0

2

カルチノイド

3

0

3

4

3

潰瘍性大腸炎

14

18

21

17

7

クローン病

1

0

0

0

0

虚血性結腸炎

17

8

6

8

9

大腸内視鏡検査数

786

1014

1209

1403

1522

ポリープ切除術件数

338

463

506

624

617

ポリープ切除病変数

654

1029

1037

1278

1312

鋸歯状病変診断一致率(%)

61.4

41.2

53.3

82.9

79.5

癌発見率(%)

1.8

1.0

1.5

1.4

1.2

昨年度は、「進行」大腸癌が8名、「早期」大腸癌が10名、当院で発見されました。

「進行」大腸癌8名の年齢幅は44歳~62歳で、男女比は5:3でした。

「早期」大腸癌10名の年齢幅は37~75歳で、男女比は6:4でした。

大腸癌はいずれも男性に多い傾向があります。

大腸癌の発見の契機は、便潜血検査で陽性、血便の自覚症状、または急な便秘症状、のいずれかが殆どです。

毎年便潜血検査を行っている方は早期癌で見つかることが多く、血便または便秘がきっかけで来院された方は進行癌になっていることが少なくありません。

40歳を超えたら、是非毎年自治体の「大腸癌検診」で便潜血検査を受けてください。

50歳未満の若年で大腸癌が見つかった方も6名おられました。

何と、50歳未満に限定すると、男女比は1:5と逆転します。

このことから、全体的には男性のほうが大腸癌に罹患しやすいものの、女性のほうがより若年で罹患しやすいということが分かります。

各務原市では18歳~39歳の方も、「ヤング健診」で便潜血検査が受けられますので、なるべく若いうちから検診を受け始めてください。

 

以前から知られていることですが、大腸癌の家族歴の有無は、自身が将来大腸癌に罹患する確率に影響します。

2024年度に当院で大腸内視鏡を受けられた患者さんのデータを分析すると、以下の事が分かります。

今回大腸癌が見つかった、または過去に罹患したことがある方のうち、家族に大腸癌の方がいる割合は、22%でした。

一方で、大腸癌に罹患したことがない方のうち、家族に大腸癌の方がいる割合は、14%でした。

家族に大腸癌の方がいる方で、今回大腸癌が見つかった、または過去に罹患したことがある方は8.1%でした。

家族に大腸癌の方がいない方で、今回大腸癌が見つかった、または過去に罹患したことがある方は3.4%でした。

以上のことから、大腸癌の家族歴の有無は非常に重要な事が分かっていただけると思います。

もっと細かく調べると、50歳までの若いうちに大腸癌に罹患した方のうち、家族に大腸癌の方がいる割合は、実に42%もの数値でした。

家族に大腸癌の方がいる場合は特に、大腸癌検診を毎年必ず受けましょう。

 

話は変わり、当院では以前から、「SSA/P」(最近はSSLと呼ばれます)と「過形成ポリープ」を内視鏡所見で見分けるのことに力を入れています。

「SSA/P」は癌化するため治療が必要で、「過形成ポリープ」は癌化しないため治療不要です。

以前のブログで触れましたが、病理診断をされる病理医の先生の間でも、診断能力にバラツキが多く、頭を悩まされてきました。

2023年度からは、消化管の病理診断が得意な先生に限定して検査を依頼するようにしました。

その結果、SSA/Pと内視鏡診断して切除した病変が、正しくSSA/Pと病理診断されるようになり、診断一致率が80%前後となりました。

内視鏡専門の中核病院では診断一致率が60~80%と報告されていますので、当院での内視鏡検査精度は及第点と思われます。

大腸ポリープは、1回の治療で1個だけ切除しても、複数個同時に切除しても、治療費はほぼ変わりません。

そのため「SSA/P」か「過形成ポリープ」か迷う病変があった場合は、「大腸癌」、「腺腫」または「SSA/P」などの治療が必要な病変と同日に切除してくるように心がけています。

昨年度当院で「過形成ポリープ」を切除された方は39名(切除病変数は42か所)でしたが、そのうち、「大腸癌」、「腺腫」または「SSA/P」も同時に切除された方が33名で、実に85%の患者さんで経済的負担を軽減できました。

引き続き、患者さんの経済的負担を考慮しつつ、最善の治療を行っていきたいと考えています。